34ESPRESSO と BAR UNO


僕の丁度10コ上の、陽気なバールのおっちゃんに出逢ったのは今から丁度一年前の話です。
たった一年。でも僕はそれからこの人が頭から離れない。ずっと。
それがなぜかは口では上手く説明できない。

僕はこの人にとって、常連と言える様な存在ではなく、
月に1回、2ヶ月に1回行く位のただの客でした。

切っ掛けは僕の海の師匠、GREGさんの紹介です。
『お前、コーヒーやんねやったらここ行け!』の一言。

『はい!』と言いました。

初めて由真と行った日、僕は衝撃の一杯(ESPRESSO)
に出逢ってしまいました。
勝負は早かったです。
僕が流されやすい性格と言うのもあったかも知れませんが。
僕はその日、結構な量のスプマンテをそこで御馳走になっていました。
クリクリパーマにジャケット姿の僕に、その頭ええなーとしきりに言ってくれました。
でも俺はテンパで放っておいたら勝手にこうなると言って、自分のクルクルの髪の毛を触りながら、ええやろと言わんばかりの顔をしていました。

幼い悪ガキがする様な笑顔がなんか可愛かった。

そして最後に、僕がカプチーノを頼むと
『男やったらESPRESSOやろ!』と。。

お前が求めてるものよりも、俺勧める物を!!!!
と言わんばかりに。

言われるがまま、砂糖一杯半を入れ丁寧に混ぜました。
そしてクイッといった瞬間、僕は撃沈させられてしまったのです。

全てが別次元で、何しても格好良かった。
客も。味も。全て。
箸でパスタを作る姿でさえも。

その日から、一日に一回は頭の中に絶対に出てくる存在になっていました。
あー今昼休憩やなーとか
日曜は今日はUNO休みかーとか
ESPRESSO入れてる後ろ姿とか。

それから何回か由真とお邪魔しました。
そして1月15日(水)。

このウチの定休日にBAR UNOへたまたまお邪魔したのがUNOさんと僕と由真との最後の日になってしまったのです。
1月25日(土)未明
あり得ない自転車事故でした。

まだまだ聞きたい事一杯あったのに。
UNOさんにとって僕達は常連でもないし月一回来るか来ないかのただ客。
でも僕と由真は確実にこの人に救われていたし、
大袈裟でもなんでも無く僕達の希望の光だった事は間違いありません。

最後のBAR UNOはランチの終わりかけで貸し切り状態。
初めて位色々話せ過ぎて、逆に手汗が凄かった。

今思うと、たまたまでは無く必然的な時間。
僕がイタリアに行きたいと言うと、とても嬉しそうにローマとナポリの
行きつけのバールとピザ屋を紙にブワーっと書いてくれた。
向こうでの緊急事態に備えて、メールを送れるようFacebookも友達になろうと言ってくれた。

最後に僕達の娘が今お腹の中にいる事も伝えた。
少しビックリした様な顔をして、おめでとうと言ってくれた。
そして僕がESPRESSOを頼むと、
『嫁は?』と。

『妊娠中はカフェイン駄目ですよね?』と僕が言うと、

『まー大丈夫やねんけどなー1人目やし後悔せんようにやっぱやめとき。2人目なんか可哀想なもんやで!カフェインどころか酒も呑むし、写真は少ないしなーハッハッハー』

と。いうてはりました。

そうなんやと、なぜか凄く納得したのを覚えています。

その後お一人様が来店され、僕達とUNOさんの会話らしい会話はこれが最後になりました

とにかく、個人店を回している同じ男として憧れが半端無かった。
今迄の自分が恥ずかしい位、真似したくて仕方なかった。
聞きたい事が死ぬ程あって体中むず痒かった。
僕が質問しかしないから、少しめんどくそうだったのも今となっては懐かしい。

あの衝撃の一杯を飲んでからはや1年。
その衝撃は薄れる事無く、

今まさに宇野さんの全ての仕事っぷりは、僕の目標です。

僕にとってBAR UNOのESPRESSOは、僕のこれからの道しるべであり、超えるべき壁であり、伝えたい歴史です。

そしてこれからは僕のESPRESSOが一人でも多くの人に必要としてもらえる様、その一杯で人の人生を変えられる位の男を目指し、日々精進する事を誓います。

最後に宇野さん、亡くなる1年前にあなたに出逢えて僕は本当に運が良かったと思います。心から感謝しています。
天国で安らかにお眠り下さい。

そしてBAR UNOを勧めてくださったGREGさん
本当に有り難うございました!

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